親の施設入居や相続をきっかけに実家が空き家になると、「何から手をつければいいのか」と途方に暮れる方は少なくありません。放置しても問題ないように思えても、時間が経つほど維持費・老朽化・法的リスクが積み重なっていきます。
この記事では、実家が空き家になったときに最初にやるべきこと5つと、その後の選択肢をわかりやすく解説します。
この記事の結論
まず「名義・相続状況の確認」「建物状態の把握」「維持費の算出」「家族での方針決定」「不動産査定」の順で動き出しましょう。その後、売却・管理継続・賃貸活用・解体のどれが最適かを判断します。
なぜ実家が空き家になると悩むのか
実家が空き家になると、多くの人が「何から始めればいいのか分からない」と悩みます。手続きの複雑さだけでなく、家族との話し合いや将来の活用方法、維持費の負担など、複数の問題が重なることで判断が難しくなるためです。まずは、多くの人がつまずきやすいポイントを確認していきましょう。
やるべきことが分からない
「片付けから始める?」「売却の手続きは?」「相続登記は必要?」と、何が優先事項なのか分からないまま時間だけが過ぎていくケースが典型的です。全体の流れを把握していないと、抜け漏れや二度手間が発生しやすくなります。
将来どうするべきか決められない
「いつか誰かが住むかもしれない」「売るのはまだ早い気がする」という気持ちが判断を鈍らせます。しかし「とりあえず保有」という選択にも、維持費・管理負担という形で毎年コストがかかっています。
家族間で意見が分かれる
売却派・管理継続派・活用派が同じ家族内に存在することは珍しくありません。全員の合意なしに進めると後のトラブルの原因になるため、早めに家族会議を開くことが重要です。
維持費が見えづらい
「所有しているだけでコストがかかる」という実態は、実際に通知書が届くまで実感しにくいものです。固定資産税・保険料・管理費の合計を正確に把握することが、判断の第一歩になります。
空き家を放置するとどうなるのか
「今すぐ困っていないから」と空き家をそのままにしていると、時間の経過とともにさまざまなリスクが大きくなります。維持費がかかり続けるだけでなく、建物の劣化や近隣トラブル、税負担の増加などにつながる可能性もあるため、放置による影響を理解したうえで早めに対応を検討することが大切です。
固定資産税や維持費が発生し続ける
空き家でも不動産を所有している限り、固定資産税・都市計画税・火災保険料は毎年かかります。30坪程度の一戸建てでは年間20〜40万円以上の維持コストになるケースが多くあります。
建物の老朽化が進む
人が住まない家は換気・清掃・排水が止まるため、カビ・腐食・害虫・雨漏りが通常より早く進行します。放置年数が長いほど修繕費が膨らみ、売却価格も下がります。
防犯・防災リスクが高まる
空き家は不法侵入・放火・ゴミの不法投棄のターゲットになりやすく、地震・台風の際には倒壊して隣家に被害を与えるリスクもあります。所有者として近隣への賠償責任が生じる可能性もあります。
売却しにくくなる可能性がある
2023年の法改正で「管理不全空き家等」という新しいカテゴリーが設けられました。これにより「特定空家」の指定を受けていなくても、管理状態が悪ければ固定資産税の住宅用地特例が外れ、税額が最大6倍になる可能性があります。
また倒壊の危険がある「特定空家」に指定されると、改善命令に従わない場合は50万円以下の過料が科されるケースもあります。早めに動くほど選択肢が広がります。
実家が空き家になったら最初にやること5つ
実家が空き家になったからといって、すぐに売却や解体を決める必要はありません。まずは現状を整理し、家族全員が判断できる材料をそろえることが大切です。次の5つのステップを順番に進めることで、後悔のない選択につながります。
名義・相続状況を確認する
まず法務局またはオンライン(登記ねっと)で登記事項証明書を取得し、現在の名義人と権利関係を確認します。
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確認すべきポイント
- 所有者は誰の名義か(親・故人・共有名義など)
- 相続が発生している場合、相続登記は完了しているか
- 抵当権・借地権などの権利が設定されていないか
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2024年4月から相続登記が義務化されており、相続を知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象になります。まだ登記が済んでいない場合は司法書士に早めに相談しましょう。
建物の状態を確認する
現地を訪問して、建物の状態を自分の目で確認します。専門家(ホームインスペクター)に依頼すると詳細な報告書が得られますが、まず自分で以下の点をチェックしましょう。
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確認すべきポイント
- 屋根・外壁のひび割れ・剥落はないか
- 雨漏りの跡(天井の染みなど)はないか
- シロアリ被害の痕跡はないか
- 水回り(台所・浴室・トイレ)の状態はどうか
- 1981年以前の建物であれば旧耐震基準の可能性がある
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建物の状態は「売る・貸す・解体する」の判断に直結するため、現状把握が最優先です。
維持費を正確に把握する
固定資産税の納税通知書(毎年4〜6月に届く)を探して年間税額を確認します。そのうえで以下のコストを合算して、年間の実際の維持費を算出しましょう。
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費用の種類 年間の目安 固定資産税・都市計画税 5〜20万円 火災保険料 3〜8万円 管理・清掃・草刈り 3〜10万円 突発的な修繕費 数万〜数十万円(随時) 合計目安 年間20〜40万円以上 -
この数字を家族で共有することで、「残す場合のコスト」が具体的に見えてきます。
家族で方針を話し合う
名義・建物状態・維持費の把握が終わったら、相続人・家族全員で方針を話し合います。この段階を飛ばして「片付けだけ先に進める」と、処分してはいけないものを捨ててしまうなどのトラブルが起きやすくなります。
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話し合いで決めるべきポイント
- 誰かが住む予定はあるか(誰が・いつ・なぜ)
- 売却・賃貸・管理継続のどれを基本方針にするか
- シロアリ被害の痕跡はないか
- 費用や管理の役割分担をどうするか
- 方針決定の期限はいつにするか
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話し合いの内容はメモや議事録に残しておくと、後の「言った・言わない」トラブルを防げます。
不動産査定を受ける
「古い家だから売れないだろう」と思い込まず、必ず複数社(最低3社)に無料査定を依頼して市場価値を把握します。査定を受けたからといって必ず売らなければいけないわけではありません。「いくらで売れるか」を知ることが、残す・売る・貸すすべての判断の基準になります。
実家が空き家になった場合の選択肢
実家が空き家になった場合の選択肢は、一つではありません。売却して負担をなくす方法もあれば、管理を続けたり、賃貸や土地活用によって資産を活かしたりする方法もあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、建物の状態や家族の状況、将来の予定を踏まえて比較検討することが大切です。
売却する
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維持費・固定資産税から完全に解放される。まとまった現金が得られる。管理の心理的負担がなくなる。相続人が複数いる場合は現金化して公平に分けやすい。
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思い出の家を手放すことになる。仲介手数料(売却価格×3%+6万円・税別)などの諸費用が発生する。相続人全員の合意が必要。
誰も住む予定がない。遠方で管理が難しい。施設費用・介護費用の確保が必要。
管理を続ける
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将来住む・貸す・売るといった選択肢を残せる。すぐに決断しなくてよい。
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年間20〜40万円以上の維持費が発生し続ける。管理を担う人に負担が集中しやすい。老朽化が進むほど売却価格が下がる。
近隣に住む家族が定期管理できる。1〜2年以内に方針を決める予定がある。親が施設から戻る可能性が残っている。
賃貸や活用を検討する
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家賃収入を維持費や施設費用に充てられる。実家を手放さずに済む。
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リフォーム費用が発生する場合がある(数十万〜数百万円)。入居者がいる間は自由に売却しにくくなる(特に売却時の3,000万円控除が使えなくなる)。空室リスクや入居者トラブルへの対応が必要。
駅近など交通利便性が高いエリア。建物の状態が比較的良好。3〜5年後に子ども世代が住む予定がある場合(定期借家契約を活用)。
解体して土地活用する
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老朽化した建物を抱えるリスクがなくなる。更地として売却しやすくなる場合がある。駐車場・資材置き場などとして活用できる。
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解体費用が発生する(木造住宅で1坪あたり3〜5万円・30坪で90〜150万円が目安)。更地にすると住宅用地の固定資産税軽減措置が外れ、税額が最大6倍になる場合がある。
建物の老朽化が著しく、旧耐震基準(1981年以前)で売却が難しい。建物付きより更地の方が需要が高いエリア
実際に解決したケース
親が施設へ入居した後の実家の対応は、家庭ごとに異なります。実際には、親の健康状態や家族の住まい、将来の活用予定などを踏まえて、それぞれに合った選択をしています。ここでは、実家を売却・管理継続・住み継ぐことを選んだ代表的なケースを紹介します。
親の施設入居で空き家になった
売却
70代の父親が介護施設へ入居したAさん(50代・遠方在住)のケース。2年間「様子を見て」いたが、年間30万円超の維持費と往復の交通費が積み重なっていた。3社に査定を依頼すると想定より高い価格がつき、家族全員で売却に合意。家財整理は遺品整理業者に依頼し、売却完了まで約8ヶ月。維持費の負担から解放され、売却代金を父親の施設費用に充てることができました。
相続後に空き家となった
売却
父親が亡くなりBさん(40代)が兄弟2人で実家を相続したケース。相続登記を司法書士に依頼してまず名義を整理。遺品整理業者に家財整理を依頼した後、2社に査定を依頼して売却活動を開始。空き家になってから6ヶ月以内に売却が完了。売却代金を兄弟で分割できました。
空き家を賃貸活用
管理継続
実家が駅から徒歩5分の好立地にあったCさん(50代)のケース。売却も検討しましたが、不動産会社から「賃貸需要が高いエリア」とアドバイスをもらい賃貸活用を選択。水回りを中心に100万円のリフォームを行い、定期借家契約(3年)で賃貸へ。毎月の家賃収入が実家の維持費を上回る収支になりました。
このケースならどうする?
実家が空き家になったときの最適な対応は、家族の状況や建物の状態によって異なります。大切なのは、思い込みで判断するのではなく、「誰が管理するのか」「将来住む予定はあるのか」「資産価値はどの程度あるのか」を整理したうえで選択することです。次の表を参考に、ご自身の状況に合った対応を確認してみましょう。
| 状況 | おすすめの対応 |
|---|---|
| 親が施設に入居した | まず査定を受けて維持費と比較、売却を検討 |
| 相続後の空き家 | 相続登記→査定→売却または活用を検討 |
| 子どもが住む予定がある | 管理継続(期限を決めて定期的に見直す) |
| 遠方で管理できない | 売却優先(管理コスト・リスクが大きい) |
| 築40年以上の建物 | 査定で「建物付き売却」vs「解体後売却」を比較 |
| 駅近など立地が良い | 賃貸活用も有力な選択肢 |
よくある質問
空き家はすぐ売却した方がいいですか?
「すぐ売るべき」かどうかは状況次第ですが、判断を先送りにするほどコストとリスクが積み上がるのは事実です。売却を急ぐ必要はありませんが、「いくらで売れるか」だけは早めに把握しておくことをお勧めします。査定を受けたからといって必ず売る必要はなく、判断の材料にすぎません。なお、相続した空き家を売却する際に使える「空き家3,000万円特別控除」には適用条件があり、一定の期限(住まなくなってから3年以内が目安)もあるため、売却を検討している方は税理士にも早めに相談しておきましょう。
空き家の維持費はいくらかかりますか?
30坪程度の一戸建てでは年間20〜40万円以上になるケースが多くあります。内訳は固定資産税・都市計画税(5〜20万円)、火災保険料(3〜8万円)、管理・清掃・草刈り(3〜10万円)が主なもので、突発的な修繕費も随時発生します。10年間放置すれば200〜400万円以上のコストになる計算です。「維持費の合計×10年」を試算して、売却査定額と比較してみると判断がしやすくなります。
相続前でも準備できますか?
できます。むしろ親が元気なうちに動き出すことが最もスムーズで費用を抑えられる方法です。親が健在のうちであれば、不動産の査定依頼・家族での方針決定・家財整理の一部などを親本人と一緒に進められます。認知症が進んだ後では、売却手続きに「成年後見制度」が必要になり、手続きが複雑・高コストになります。「いつか考えよう」と先送りにしないことが最大のリスクヘッジです
空き家管理サービスは利用した方がいいですか?
遠方に住んでいて自分で管理できない場合は、空き家管理サービスの活用を強くお勧めします。月1〜3万円程度の費用で、定期巡回・通風・通水・清掃・異常報告などを代行してくれます。主なサービスとしてはダスキン・セコムなどが提供しており、地域の不動産会社が空き家管理を行っているケースもあります。ただし、空き家管理サービスは「管理コストを下げる手段」であり、根本的な解決(売却・活用)を先送りにする理由にはならない点に注意が必要です。
まとめ:空き家になったその日から動き出そう
実家が空き家になった瞬間から、維持費・老朽化・法的リスクのカウントダウンが始まります。「とりあえず様子見」の期間が長くなるほど、選択肢は狭まり、コストは増えていきます。
空き家になったら最初にやること・優先順位
- 名義・相続状況を確認する(登記事項証明書を取得)
- 建物の状態を現地確認する(老朽化・雨漏り・シロアリなど)
- 年間維持費を正確に算出する(固定資産税+保険料+管理費)
- 家族全員で方針を話し合う(売る・貸す・残すの期限付き決定)
- 不動産査定を複数社に依頼する(最低3社・無料)
この5つを終えれば、「売却・賃貸・管理継続・解体」のどれが自分たちの状況に合っているかが自然と見えてきます。「何から始めればいいか分からない」という方は、まず無料相談や査定依頼から動き出してみてください。

