実家じまいを進めようと思っても「何をすればいいのか分からない」「やることが多すぎて整理できない」「手続きの漏れがないか不安」と感じている方は少なくありません。
実家じまいは片付けだけでなく、相続・不動産・行政手続きなど幅広い対応が必要になります。この記事では、実家じまいで必要なやることをチェックリスト形式でわかりやすく解説します。
この記事の結論
実家じまいは「現状整理→家族の合意→家財整理→不動産査定→最終判断」の順で進めるのがベストです。
なぜ実家じまいは大変なのか
実家じまいは、片付けや売却だけでなく、相続や家族間の話し合いなど複数の問題が重なるため、多くの方が「何から始めればよいのか」と悩みます。まずは、実家じまいでつまずきやすい理由を見ていきましょう。
やることが多すぎる
実家じまいは「片付け」だけではありません。遺品整理、相続手続き、不動産の査定・売却、各種名義変更、近隣への挨拶、ライフラインの解約など、やるべきタスクが多岐にわたります。全体像が見えないまま動き出すと、抜け漏れや二度手間が発生しやすく、それが「何から始めればよいのか分からない」という感覚につながります。
意見が分かれる
実家は家族それぞれにとって思い出の場所です。「早く売って維持費の負担をなくしたい」という子どもと、「思い出があるから残してほしい」という親や兄弟が対立するケースは珍しくありません。感情が絡むからこそ、合意形成に時間がかかります。
専門知識が必要
2024年4月からは相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に登記申請をしなければ過料の対象になりました。また売却時には譲渡所得税や空き家特例(3,000万円控除)なども関係してきます。こうした法律・税務の知識は、一般の方にとってハードルが高いのが現実です。
感情的な負担が大きい
長年親が暮らした家を整理することは、精神的に大きな負担を伴います。思い出の品を前に手が止まってしまうことも多く、作業が予想以上に長引くことがあります。時間に余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。
実家じまいを放置するとどうなるのか
実家じまいの進め方は家庭によって異なりますが、多くのケースには共通する悩みや判断のポイントがあります。ここでは、実際のケースをもとに、どのように実家じまいを進めたのかをご紹介します。
維持費がかかり続ける
誰も住んでいない実家でも、固定資産税(年間数万〜数十万円)は毎年かかります。さらに火災保険料、管理費、定期的な清掃・草刈り費用なども発生します。放置すればするほど、維持コストは積み重なっていきます。
老朽化が進む
人が住まない家は劣化が早く進みます。換気不足によるカビ・腐食、害虫・害獣の侵入、雨漏りの放置による構造被害など、時間とともに修繕費が膨らみます。早期に動き出すことが、経済的な損失を防ぐ鍵です。
相続トラブルになる
相続登記を放置していると、次の相続が発生したときに権利関係が複雑になり、売却や活用の際に相続人全員の合意が取れなくなるリスクがあります。早めに名義整理を済ませておくことが重要です。
売却しづらくなる
行政から「特定空家」や「管理不全空き家」に指定された場合、固定資産税の優遇(住宅用地特例)が解除され、税額が最大6倍になることがあります。また改善命令に従わない場合は最大50万円以下の過料が科されるケースもあり、売却前に余計なコストがかかるリスクがあります。
実家じまいのやることリスト
現状確認チェックリスト
まず「実家の今」を正確に把握することが最初の一歩です。
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所有者を確認する
法務局またはオンラインで登記事項証明書を取得し、現在の名義人を確認します。親が健在でも、認知症などで判断能力が低下している場合は手続きに支障が出ることがあります。
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相続状況を確認する
遺言書の有無、相続人の人数、遺産分割協議の状況を整理します。相続登記が完了していない場合は司法書士に早めに相談しましょう。
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固定資産税を確認する
毎年届く固定資産税の納税通知書を探し、課税評価額と年間税額を把握します。売却価格の参考にもなります。
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建物の状態を確認する
築年数・耐震基準(1981年以前は旧耐震基準)・雨漏り・シロアリ被害の有無・水回りの状態などを現地確認します。状態によって売却・活用・解体の選択肢が変わります。
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権利関係を確認する
借地権・抵当権・賃借権などが設定されていないか登記簿で確認します。権利関係が複雑な場合は売却前に整理が必要です。
家族で話し合うチェックリスト
現状把握ができたら、家族全員で方針を話し合います。この段階を飛ばして片付けを始めると、後でトラブルになるケースが多いので注意が必要です。
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実家を残すか売るか決める
「売却」「賃貸活用」「管理継続」「解体」の4択を軸に、家族全員の意向を確認します。話し合いの内容はメモや議事録に残しておくと、後の「言った・言わない」トラブルを防げます。
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相続人全員の意向を確認する
遠方に住む兄弟・親族も含めて、全員の意向を確認しておきましょう。相続後に売却する場合は相続人全員の署名・捺印が必要になるため、事前に合意を取っておくことが重要です。
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思い出の品の扱いを決める
誰が何を引き取るか、処分するものはどれかを家族で確認します。独断で処分すると感情的なトラブルになりやすいため、必ず全員で確認しながら進めましょう。
家財整理チェックリスト
方針が決まったら、いよいよ家の中の荷物を整理します。30坪程度の一戸建てでは、家族だけで作業する場合は数ヶ月かかることもあります。
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必要なものを仕分ける
貴重品や思い出の品は残す、価値のあるものは買取査定に出す、それ以外は処分するという基準で仕分けを進めます。一度にすべて判断しようとせず、エリアごとに区切ると負担が減ります。
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絶対に捨ててはいけないものを確認する
以下の書類・貴重品は誤って処分すると大きな損害になります。必ず先に確認・保管してください。
種類 具体例 不動産関係 権利証(登記識別情報)、固定資産税通知書、売買契約書 金融関係 預金通帳、株券・有価証券、保険証券 年金・行政 年金手帳、マイナンバー関連書類 その他 実印・印鑑登録証明書、貴金属・現金
不動産の方向性を決めるチェックリスト
家財整理と並行して、不動産の活用方針を固めましょう。ここが実家じまいの核心です。
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売却査定を受ける(最低3社以上)
複数の不動産会社に査定を依頼し、相場を把握します。「仲介売却」と「不動産会社への直接買取」では価格に大きな差が出ることがあるため、両方を比較することをお勧めします。
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活用可能性を確認する
立地が良い場合は賃貸・民泊・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などへの活用も選択肢です。不動産会社や管理会社に相談して収支シミュレーションをもらいましょう。
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解体が必要か確認する
旧耐震基準(1981年以前)の建物や老朽化が著しい場合は、建物付きでの売却が難しいケースがあります。解体費用(木造住宅で1坪あたり3〜5万円、30坪で90〜150万円が目安)と更地売却価格を比較して判断しましょう。
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管理継続の費用を確認する
すぐに判断できない場合は管理継続という選択肢もあります。ただし固定資産税・保険料・管理費などが毎年かかるため、年間コストを正確に把握したうえで継続期間の上限を決めておくことが重要です。
各種手続きチェックリスト
空き家になった実家では、さまざまな手続きが必要です。見落としがちな項目も含めて確認しておきましょう。
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電気を停止する
電力会社に連絡して解約手続きをします。ただし、売却・引き渡しまでの期間は維持しておく必要があります。解体工事の際も電力が必要なケースがあるため、タイミングに注意が必要です。
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ガスを停止する
ガス会社に連絡して閉栓・解約を依頼します。閉栓は立ち会いが必要なことが多いため、早めに予約を入れておきましょう。
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水道を停止する
市区町村の水道局に連絡して解約します。空き家状態での凍結被害防止のため、冬季は特に早めの対応が重要です。
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郵便転送を設定する(転送不要郵便に注意)
日本郵便の転居届を提出し、実家宛の郵便を転送します。ただし「転送不要」と記載された書類(年金通知・税務署書類等)は転送されないため注意が必要です。
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火災保険を確認する
空き家になっても火災保険は継続することを推奨します。ただし「居住用」から「空き家用」に保険内容の変更が必要な場合があります。変更しないと保険金が支払われないトラブルになることがあります。
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見落としがちな手続き
手続き 内容 担当窓口 相続登記 名義変更(3年以内に義務) 司法書士・法務局 固定資産税の住所変更 納税通知書の送付先変更 市区町村役場 NHK受信料の解約 解約または住所変更 NHK インターネット・電話の解約 各通信会社に連絡 各社 近隣への挨拶 工事や売却前に一言 直接訪問
実家じまいの選択肢を比較する
実家じまいの進め方は家庭によって異なりますが、多くのケースには共通する悩みや判断のポイントがあります。ここでは、実際のケースをもとに、どのように実家じまいを進めたのかをご紹介します。
売却する
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維持費がゼロになる
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まとまった現金が入る
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管理の手間から解放される
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売却まで時間がかかる場合あり
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仲介手数料が発生する
相続完了・家族全員が合意している場合に向いている
管理を続ける
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将来の選択肢を残せる
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維持費がかかり続ける
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遠方だと管理の手間が大きい
親が戻る可能性がある・将来誰かが住む予定がある場合に向いている
賃貸活用する
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維持費を家賃収入でカバー
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売却より早く収益化できる場合も
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空室リスクがある
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リフォーム費用がかかる場合あり
交通利便性が高く、建物の状態が良好な場合に向いている
解体して活用する
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老朽化リスクがなくなる
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更地として売却しやすくなる
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解体費用が発生(30坪で90〜150万円)
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固定資産税の軽減措置が外れる場合あり
老朽化が著しく・旧耐震基準で売却が難しい場合に向いている
実際に実家じまいを進めたケース
実家じまいの進め方は家庭によって異なりますが、多くのケースには共通する悩みや判断のポイントがあります。ここでは、実際のケースをもとに、どのように実家じまいを進めたのかをご紹介します。
親が施設へ入居
売却
70代の母親が介護施設へ入居することになったAさん(50代)のケースです。実家は築35年の戸建て。「親が戻るかもしれない」と迷いながらも、維持費が月3〜4万円かかり続けていることを家族で確認し、売却を決断。不動産会社3社に査定を依頼したところ、買取と仲介で100万円以上の差が出たため仲介を選択。家財整理から売却完了まで約8ヶ月かかりましたが、維持費の負担から解放されました。
相続後に空き家となった
相続
売却
父親が亡くなりBさん(40代)が実家を相続したケースです。兄弟3人で話し合った結果、「誰も住む予定がないので売却する」という方針に決定。遺品整理業者に依頼して家財を整理した後、売却活動へ。空き家になってから1年以上経過していたため、建物の状態が一部劣化していましたが、リフォームなしの現状渡しで売却できました。
築50年以上の実家だった
売却
解体
築55年の木造住宅を相続したCさん(60代)のケース。不動産会社から「建物付きでは売却が難しい」とアドバイスを受け、解体後に更地として売却する方針に変更。解体費用は約130万円かかりましたが、更地にしたことで買い手がつき、想定より高値での売却が実現しました。
このケースならどうする?
実家じまいの進め方は、親の状況や相続の有無、建物の状態などによって変わります。ここでは、よくあるケースごとにおすすめの対応をまとめました。
| 状況 | おすすめの対応 |
|---|---|
| 親が施設へ入居した | 早めに売却査定を受け、維持費と比較して判断する |
| 相続が完了している | 売却または賃貸活用を検討する |
| 築40年以上の建物 | 不動産会社に「建物付き売却」vs「解体後売却」を比較してもらう |
| 近隣に住んでいる | 管理継続も選択肢だが、期限を決めて方針を固める |
| 遠方に住んでいる | 売却を優先し、管理の手間をなくすことを検討する |
実家じまいでよくある質問
実家じまいは片付けから始めるべきですか?
片付けよりも先に、家族で方針を決めることが重要です。「売る」「賃貸に出す」「残す」によって、何を処分してよいかが変わります。方針が決まらないまま片付けを進めると、後でトラブルになる可能性があります。
売却と解体はどちらが先ですか?
まずは建物付きのまま売却できるかを不動産会社に相談するのが先です。解体が必要かどうかは建物の状態と市場動向によって異なります。解体費用を先に負担してしまうと、売却価格によっては費用回収できないケースもあります。
相続前でも準備できますか?
できます。むしろ親が元気なうちに話し合いを始めることが、最もコストを抑えてスムーズに進める方法です。親の意思を確認しながら片付けを少しずつ進めることができ、いざという時の負担を大きく減らせます。
実家じまいにはどのくらい費用がかかりますか?
30坪程度の一戸建てを想定した場合の目安です。
- 遺品・家財整理費用:20〜50万円
- 不用品処分費:5〜20万円
- 解体費用(解体する場合):90〜150万円
- 相続登記費用:5〜15万円(司法書士報酬)+登録免許税
- 不動産仲介手数料:売却価格×3%+6万円(税別)
状況によって大きく異なるため、まずは専門家への相談と複数社への見積もり取得をおすすめします。
まとめ:実家じまいのやることリストを活用しよう
実家じまいでやることは多岐にわたりますが、正しい順番で一つひとつ進めることで確実に完了できます。
実家じまいの5ステップまとめ
- 現状確認(所有者・相続状況・建物状態・権利関係の把握)
- 家族で話し合い(売却・活用・管理継続の方針を全員で合意)
- 家財整理(貴重品の保護→仕分け→処分の順で進める)
- 不動産の方針決定(複数社査定→売却・賃貸・解体を比較)
- 各種手続き(ライフライン・相続登記・郵便転送など漏れなく対応)
「何から始めればよいか分からない」という方は、まずSTEP1の現状確認から着手してみてください。あなたの実家じまいの状況や悩みに合った進め方は、専門家への無料相談で確認することもできます。

